2005.8.1

週末2日間、相変わらず映画のロケハンや打ち合わせで首都圏を駆け回っていた。土曜の午後に数時間の猶予ができたので(眠ればいいものを)、灼熱の都会からのがれて相模湖付近の沢を歩いた。沢歩きの時間はなにも考えず、とにかく無心で上流へ向けて歩き続ける。数メートルの滝や深い落ち込みをいくつも乗り越えながらの行程は、体力的には結構きついけれど、とても心地よいもの。釣りもせず写真も撮らず、ただひたすら歩くだけで心身が生き返る。
呑み込まれそうな轟音をたてる滝を越えたあとに、突然静寂の流れが訪れる。立ち止まって、両脇の杉林に見惚れながら蝉の声を聴く。郷愁を帯びたひぐらしの声が、こだまするように森いっぱいに鳴り響いている。日常の感覚とも、制作に取り組んでいる時の感覚とも次元の違うおおらかな自然の喜悦。
疲れが喫水線を越えるとこのような自然の誘惑に抗うことができなくなり、無理をしてでも時間を作って森や沢へ向かう。札幌市に生まれた自分の原風景はいわば半陰陽なのかもしれないと思う。…端正な都市を自転車で駆け抜けてゆくと、その先には手つかずの原野や森が広がっていた。ある世界(此岸)とべつの世界(彼岸)を日常的に行き来していて、双方に満たされていなくては生きては行けないという自覚もあった。
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by akiyoshi0511 | 2005-08-01 00:00

映像作家・写真家 北川陽稔 http://www.akiyoshikitagawa.com/


by Akiyoshi Kitagawa

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