紆余曲折を経ていま再び、あの彼岸を見定める。


10月あたりから、あるプロジェクトについて様々な人に会って話し、下準備を進めている。これは4年前の長編映画と同等か、それ以上の重みを持つ取り組みになってきている。
初夏に立ち上げたVAというユニットの、ある意味では延長上にあるものなのだが、組織としてまったく別物であり、また、こちらは法人として立ち上げるもの。

北海道に戻って1年半、朧げに思い描いてきたプランに、この夏以来の様々な出会いや状況が作用し、輪郭が明確になり、実現に向けて動き始めている。
楔であろうとすることに終始し、疲弊した20代中盤の映画生活、そして結果として自分の身体を臨界点まで追いつめてしまった職業カメラマンの2年を経て、写真家としての歩み始めに至り、今、やっと仄かな光を見定めている。

これは最早、視覚作品ですらなく、ある場所を軸としたコミュニティの創造、という取り組みになっている。また、それ自体がぼくにとっては、無限の拡張可能性を秘めた持続的な作品だとも言える。より生活に密接な諸要素も、ある種の思想に関する実践も、このプロジェクトを足がかりに実行してゆくだろう。そして写真も映画も、この生活とともにごく自然に、積み重ねられて行くだろう。

在京中のこの2週間は、VAや、そのプロジェクトに関連して、毎日いくつもの面談や営業やミーティングをこなしていたので、体力的にはキツかった。けれど、本当に充実した日々だった。
VAの今後に関しても、新しいプランに関しても、メンバーだけでなく内外の多くの方に深い理解を得られ、それだけでも既に大きな励みになっている。

・・・

金曜日午前、初冬の嵐が来る前に東京から北海道に舞い戻り、その夜から再び札幌で、間断なく関係者との面談や打合せが続いている。草蛙が三足だろうが四足になろうが、この先も最善を尽くすしかないし、自分の中には、少なくとももう何の迷いもない。他の選択肢も、おそらくないだろう。

「持ち場」に戻ったので、ウトナイの冬の撮影にも早晩取り組む。このシリーズはもう一歩で完結だが、なかなかどうして、最後の対象にまだ出会えていない。二週間前のぼくはきっと、歩き方を間違ったのだろう。
原野とのシンクロニシティ…チトセ/ウトナイというマクロコスモスと、自己の内部というミクロコスモスの同期/反転に、今度はこの冬の過酷な状況化で、至らねばならない。例え数分でも、そういう瞬間があってこそ、写真は行為として成立するのだから。

中平の火ではなく、タルコフスキーの火ではなく、他ならぬ自分の火を焚かねばならない。その火柱はそのまま、来春以降のこの地での取り組みを、自己に確定づけるものともなるだろう。

雪が深くなる前に、最後の時間を作りたいと思っている。

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by akiyoshi0511 | 2008-12-07 14:05 | monologue

映像作家・写真家 北川陽稔 http://www.akiyoshikitagawa.com/


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