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「197X」

近代美術館で展示しているシリーズ(「197X」)はデジタルで撮影している。デジタルイメージによる現実の模倣(あるいは擬態)、時間の可逆性に関しての省察…といったワードがそれを方向づけた。
美術館という場でアルミの裏打ちを施されてソリッドに光を放つ物体たちは、自分にとっては短期間で最大の結果を出した、想定以上の成果物と言えるかもしれない。

脆いインクジェットプリントに、アルミニウムによって物質的強度がもたらされる。作品を搬入していて、軽く、硬い写真の存在自体が自分にとっては新しい感触だった。粘土質のノスタルジーを転倒させ、透き通った氷のような硬度をもたらすプロセス。
言い換えればそれは、建築物に認められる多くの古傷や何かの痕跡は、ノスタルジーを引き出すために写し取られたものではないということの証左でもある。

フィルム撮影・銀塩プリント・木製のフレームなどは、この作品にとってはまったく不要なものだった。ただ合理的に、できるだけ素早く、できる限り硬質で怜悧な作品として、打ち立てる必要があったのだ。やはり、それはある種の擬態なのだと思う。「完全コピー」を趣味的に目指すのではなく、敢えて似て非なるものを迅速に生み出すこと…。

「197X」という擬態は、オリジナルに対してのリスペクトや反復ではなく、ある種の防御・攻撃を目的とする。

by akiyoshi0511 | 2015-03-12 06:36 | monologue