2005.10.10

昨夜、相模湖の部屋でクレジオの『はじまりの時』の上巻をやっと読み終えた。それから、散々後回しにしてきた税金の書類を作成したが、遅々としてなかなか進まなかった。途中でリゾットを作って休憩し、森山大同の本を気の向くままに捲り、ヴェンダースの本を読み、何度となく観ているヴェンダースの映画も観た。書類が完成した頃には午前3時を回っていた。
 霧雨の中をひた走り小金井に戻った。眠ろうと思ったけれど、眠れないので、『はじまりの時』の下巻を読み始めた。下巻は中程まで進んだ。エンペドクレスの言葉がそれ自体この上なく高潔であり、また有効に引用されていても、フランス革命時の年代記の、時代へ接触するナマの感覚は到底超え難い、という印象。それにしても、2つの時代(フランス革命とアルジェリア戦争)を共鳴させながら描いて行く前半部は、クレジオにしかなしえない、まさに見事なシンクロニシティだと思う。

 撮影は滞っている、というか、再開がいつになるのか分からない。もしかしたら全て撮り直し、かもしれない。少しでも状況を整理するために、相模湖の居場所も手放す決意を固めた。この街にはいつか戻りたい。まるで土地全体が忘れ去られた窪地のような、愁いを帯びた寄る辺ない街。中央高速の長いトンネルを抜けると、山腹のあちこちに霞が立ちのぼり、まるでマヨヒガのようだ…などと言うとさすがに大袈裟かもしれないけれど、たしかに別世界だった。その相模湖と、しばしの(場合によっては永久に)お別れである。

差し当たり、目の前にある仕事を前向きにこなしたい。久しぶりに新しいクライアントから直に来た案件は、ある国の民族解放運動に関する映画の予告篇。映画といえば、ヴェンダースの新作は楽しみだ。僕は体質的に劇場が苦手なのだけれど、久しぶりに重い腰を上げることになりそうだ。
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by akiyoshi0511 | 2005-10-10 20:25

映像作家・写真家 北川陽稔 http://www.akiyoshikitagawa.com/


by Akiyoshi Kitagawa

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