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節目に猫

石狩浜で怪我をした仔猫を拾って、土曜日から自分のスタジオで面倒を見ている。一度助けてしまった命なので、寿命を全うするまで家に置いておくつもり。
猫は右前足に重傷を負ってひどく化膿しており、万が一その傷から壊疽が始まれば長くは生きられないかもしれない。足を切断する手術が非常に高額なのでそこまで手をかけられず、消毒と抗生物質を与え、あとは本人の回復力次第。幸いエイズも白血病もないので、それ以外の危険はない。

もしも土曜日の午後に、編集の合間の休憩で石狩までドライブをしていなければ、この猫には出逢わなかった。路傍の吹きだまりで凍えている猫を見て、連れ帰ろうか悩んで何度か現場を繰り返し訪れるうちに、退くに退けない状況になり、半ば成り行きで連れて帰ることになった。

これまでも人生の節目ごとに、必ず野良猫との関わりがあったので、今回もきっとそういう類いの出会いだろう。いずれにしても、無事足の傷が癒えた場合は、今後10年は生活を共にすることになる。そして、仮に猫の10年後を見ると言うことは、自分もあと10年は生きていると言うことになる。

愛玩動物という言葉があるが、野良猫を保護したり地域猫の世話をする場合、その言葉は当てはまらない。
ごく単純に、自分以外の命を全面的に(あるいは部分的に)引き受けるだけの話で、それ以外の感情はない。
それでも、狭いスタジオの隅に段ボールで設けた猫の居場所からカサカサと音がすると、それだけで心が和むし、元気が湧いてくる。飼っている動物を死なせないために生きる、というどこかの作家の気持ちも、少しだけ理解できる。
by akiyoshi0511 | 2012-01-26 03:04 | monologue

ボードリヤール再び

深夜の札幌の地下鉄で、ボードリヤールの「なぜ、すべてがすでに消滅しなかったのか」を再読しながら帰宅。

付箋部分を集中的に読み返すと、今でも自分がこのテキストの影響下にあると、改めて感じる。
「annoski」の起案時(実作に入る前の企画段階)にも、少なからずここから手掛かりを得た。

そして、こぎれいな地方都市で、空席だらけの深夜の地下鉄に揺られながら久しぶりに読むボードリヤールは、また少し印象が違う。
悲壮感が薄らぎ、言葉が鋭利な刃物のよう。
by akiyoshi0511 | 2012-01-18 02:39 | monologue

新年に入り、早速ですがお知らせが一件。
ここ数年クローズしていた個人のインフォメーションサイトを再び立ち上げました。

"Akiyoshi Kitagawa archive"
http://www.akiyoshikitagawa.com/


今回は作品も多数公開しています、画像非公開のものも含め、これまでの活動の中で残してきたシリーズと、現在立ち上がっているプロジェクトは全てリストとして表示しています。公開終了したものや廃棄した作品は"discontinue"としてシリーズ名もしくはタイトルのみ残しています。現在試作中のものや、実制作を始めたばかりのシリーズもリストに含めています。
つまり、これが過去現在未来を包含する、文字通り自己の作家活動の「すべて」ということです。
今後新たなシリーズが起案された場合は、リストも増えていきます。時にはリストから消える作品もあるかもしれません。

画像を掲載した作品の中には、展示にもメディアにも一切発表していないものや、今回のウェブリニューアルを契機に新たにまとめたシリーズもあります。"The Opened Window"は、2010年の2月に当時のアシスタントのK君と共に雪深い炭鉱跡地を訪れ、たった数時間で撮影した作品。
同時期に撮影した"197X"というシリーズは、札幌オリンピック前夜に集中的に建造された施設の現状を写し取ったもの。仕上げたのはもう1年以上前になりますが、実質的な未公開作品です(中から3点のみ、札幌で開催されたグループ展に出展しています)。
言わばこれら2つのシリーズの延長上に"annoski"がある訳で、自分の中ではどちらも、転換期の重要な作品と言うことになります。

昨年は公私ともに苦労が多い一年でした。しかし、そんな中で東京のギャラリーコスモスで個展を開催できたこと、写真新世紀で"annoaki"の取り組みを評価していただけたことは、自分にとって僥倖以外の何物でもなく、機会を与えてくださった方々や展示を御覧になっていただいた方々に、心から感謝しています。

今年は、職業写真家/映像制作者としても本格的に戦線復帰しますので、どうぞ宜しくお願いします。

北川陽稔
by akiyoshi0511 | 2012-01-02 02:29 | dialogue